2度目の会見を開いたフジテレビの港浩一社長(1月27日、写真:Splash/アフロ)

 1月23日、元スマップのタレント「中居正広」の芸能界引退発表、あれこれ物議も醸していますが、事態はむしろ「フジテレビ存亡の危機」の様相を呈しています。

「大物芸能人スキャンダル」はときに「有権者の視線を逸らすカモフラージュ」などと言われることもあります。

 今回で言えば、自民党裏金議員の一斉不起訴あたりが、そう言われそうです。

 年明けからの展開は陣笠議員全員の首と引き換えにしても割が合わない、かなりマズい状況になっている。

 フジテレビは「2回目の記者会見」で嘉納修治会長と港浩一社長の2人が1月27日付で辞任することを発表しました。

 しかし、フジサンケイグループ代表の日枝久・フジテレビ取締役相談役が留任していたら企業体質は改まらないとの批判も受けています。

 しかし、ここで皆さん、海外でこのフジテレビ問題がどのように報じられているかご存じでしょうか?

 例えば英国のインディペンデント(INDEPENDENT)紙は、次のように報じています

「(国際的な)投資家からの圧力は、日本のコーポレート・ガバナンス環境における海外の利害関係者の影響力の増大を浮き彫りにしている(The pressure from investors has underscored the growing influence of foreign stakeholders in Japan’s corporate governance landscape.)」 

 現状は、日本マスメディアのガバナンスが、海外株主によって左右されている事態に発展している。

 我が国には、公共的な性格を持つ民放メディアに対する「外資規制」が、制度上は存在しています。

 しかし、現実にはヤクザのフロント企業同様、日本人や日本企業名義で資本参加し、実質的には外資の支配といった事態が、当然ながら発生しうる。

 こういった虚をついたような形になったのが、ここでは深入りしませんが2005年の「フジテレビ・ライブドア敵対的買収事件」でした。

 このときニッポン放送/フジサンケイグループを守り切ったのも「日枝久」その人で、今回「中居クン」事件に関連して「日枝降ろし」というのは、やや違った波及効果を持つ可能性を指摘しておく必要があるように思います。

「日枝降ろし」の波の主要な震源は、日本ではなく米国や英国にあるわけで、それに日本の大衆が不用意に乗っていいのか、といった様相を呈し始めているのです。

 ハッキリ言って「中居クン」はどうでもいいのです。