
(西田 亮介:日本大学危機管理学部教授、社会学者)
誰も得しなかったフジ会見
不祥事に揺れるフジテレビと、持株会社のフジ・メディア・ホールディングスが1月27日に「オープン」で「無制限」の記者会見を行った。
およそ400人の記者が集まったのだという。
◎【詳細】フジ会見 異例の10時間超に 社長・会長が辞任し陳謝 | NHK
10時間に及ぶ長さの、異例の会見だった。
そして、はっきりいえば、誰も得をしない会見になった。質問は漫然と繰り返され、謝罪や経営陣の一部の交代、初回の会見の不手際についての認識など、新しい情報の大半は前半に集中した。
同じような質問が続き、『週刊文春』報道に依存したり、主旨が明確にならないまま延々と読み上げられたりという質問も少なくなかった。
回答者に対して質問が事前に共有されているわけでもなかったはずだ。回答する側も人間である。あまりに酷というものだろう。
もちろん会見のセッティングはフジテレビ側にある。仕切りの拙さと、とにかくここまでの対応が後手で、受け身に回ってしまったがゆえ、自業自得であるといえなくもない。

記者受付の締め切りを前倒しし、想定を超える参加者が集まった時点で、複数回開催とする、質問や質問者を一定程度整理・集約するなど、オープンであることと、説明責任を果たすことの両立が模索されるべきだった。そのほうがよほど実りある会見になっただろう。
他方で、記者にも多くの課題が認められた。