(放送コラムニスト:高堀冬彦)
事態は「スポンサー離れ」にまで発展
タレントの中居正広(52)と20代女性との間にトラブルがあり、それにフジテレビ部長の関与があったと昨年12月19日発売号『女性セブン』などが報じた。この問題が拡大一途で収拾がつかなくなっている。
中居のテレビでの活動の再開は絶望的だ。中居の出演番組のスポンサーを引き受ける企業があるとは考えにくい。NHKも視聴者から抗議されそうな人物は起用しない。
一方、フジの先行きは極めて不透明。約36年にわたって同局の事実上のトップに君臨してきた日枝久・取締役相談役の足元が揺らいでいるのは確かだ。
フジの持ち株会社であるフジ・メディア・ホールディングス(FMH)の株を約7%持ち、中居問題について第三者委員会による調査を求めた米国の投資ファンド「ダルトン・インベストメンツ」が、以前から日枝体制に不満を持っていると見られるからだ。
ダルトン社は昨年6月、FMHへ抗議めいた文書を出している。中では「フジの取締役会のメンバーの平均年齢は日本のどの企業よりも高い部類に入る」と指摘した上で「1人の取締役は41年も在任している」と非難していた。日枝氏にほかならない。
スポンサーの動きもフジを悩ませる。トヨタ自動車、日本生命、明治安田生命保険はフジで流すはずだったCMを引き揚げた。アフラック生命保険、NTT東日本も追従する。この動きは止まりそうにない。
テレビ界に激震を走らせた日本テレビ社員による視聴率買収事件(2003年)でも見られなかった事態である。スポンサー各社は、部長のトラブルへの関与が疑われているフジに資金を投じていると見られることを避けたいのだろう。