東大院に通うバラエティプロデューサーが説く、本当に意義ある「学び直し」とは(写真:アフロ)

(角田陽一郎:バラエティプロデューサー、文化資源学研究者)

 学び直し=リスキリングをしたいと考えている社会人の方は少なくないと思います。でも、自分のキャリアをどう「拡張」すべきか、迷っている方も多いのではないでしょうか。

「ふしぎ発見!」のレポーターとMBA

 以前、TBS時代の後輩女性アナウンサーからキャリアの相談を受けたことがありました。彼女は「MBAをとろうかなって思っています」と言いました。

 自分という人間をどう武装して、強くしていけば勝てるかを考える……。彼女たちアナウンサーには自然な感覚かもしれません。ですが、私が抱いたのは「MBAをとったとして、経営に参画するの? 出世しようと思ってるの?」という、彼女とは別な感覚でした。

 詳しく聞いてみると、彼女が本当にやりたいのは「世界ふしぎ発見!」のレポーターのような仕事でした。異国の地で異文化をリサーチし、日本へと届ける。そんな姿をイメージしていたのです。

 つまり、彼女にとってMBAは「本当にやりたいこと」ではありません。あくまで「持っていれば優秀そうに見えるもの」です。

 もちろん、MBAそのものを否定しているわけではまったくありません。彼女が本気でテレビ業界を変えたいとかであれば、私も背中を押したでしょう。

 ただ、基本的には「自分がやりたいことが最初で、そこから自分のキャリアが拡張することをリスキリングする方が楽しくないでしょうか?」と思うのです。