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(川上 敬太郎:ワークスタイル研究家)
女性活躍は進んだのに「賃金格差」だけが残る理由
解散総選挙に突入した政治の世界では、憲政史上初の女性首相が誕生して新たな歴史が刻まれました。長らく働く女性たちにつきまとってきた「寿退社」や「腰掛け」といったイメージが、過去のものであることを象徴する出来事です。
2025年「新語・流行語大賞」の年間大賞に「働いて働いて働いて働いて働いてまいります/女性首相」が選ばれ、表彰式で笑顔を見せる高市首相(写真:共同通信社)
政治に限らず経済界やスポーツ界などにおいても女性が第一線で活躍する姿はいたるところで目にするようになりましたし、法制度の整備も少しずつ進められてきました。
女性活躍推進法では、一定の基準を満たす企業に対して男女間賃金差異の公表が義務付けられ、今年4月からはその対象が従業員数101人以上の企業にまで拡大されます。
しかし、そうした時代の移り変わりを横目に、いまも厳然と残っている課題があります。男女間の賃金格差です。
高市早苗首相を筆頭に社会で目覚ましい活躍を見せる女性たちの姿は、「女性は男性より能力が劣る」といった先入観に根拠がないことを明確に証明しています。にもかかわらず、男女間の賃金差異はなぜなくならないままなのでしょうか。
男女賃金格差が課題視されているのは、日本に限った話ではありません。
「男女共同参画白書(令和4年版)」に紹介されている国際比較によると、男性のフルタイム労働者の賃金を100とした場合のOECD(経済協力開発機構:日米欧の先進国を中心に加盟する国際機関)平均は88.4。海外でも、男女間に賃金格差があることが分かります。
しかしながら、日本の数値は77.5です。OECD平均を10ポイント以上下回っています。背景として考えられるのは、正社員と呼ばれる日本特有の雇用形態による影響です。性別役割分業によって女性は専業主婦として家庭を守り、男性は専業就労者として働き生活費の獲得責任を一身に負いました。
男性が仕事を失うと、家族は路頭に迷うことになります。会社は社員として勤める男性の能力が不足していたとしてもできる限り解雇せず、適合する職務を探して人事異動させ、定年まで雇用を守るという関係性が築かれてきました。