働き方改革のあり方、またそもそも働くことの価値を、根本から問い直すカギは「女性の活躍」かもしれない。
2016年4月には女性活躍推進法が全面施行され、女性の個性や能力を発揮させるための取り組みが、大企業を中心に動き出している。また、働き方改革実現会議でも「女性・若者の人材育成など活躍しやすい環境整備」や「子育て・介護等と仕事の両立」が議論され、数々の施策が実行計画として明記されるに至った。全体として「女性が働きやすい社会」に向けて舵を切り始めたと言えよう。
しかし、さまざまな方針や施策を議論する際、「女性」をひとくくりに考えてしまってはいないだろうか。各種ある統計も、全体としての傾向こそ把握できるが、そこに個々の人々が持つ悩みなどは現れてこない。働く現場の女性が本当に求めているものが見過ごされてはいないだろうか。
女性が働き活躍していくために、社会にとって本当に必要なものは何なのか。
長年にわたり、働く女性の「生の声」に耳を傾け調査をしてきた、ビースタイル「しゅふJOB総研」所長の川上敬太郎氏に、調査の目的や概要、そして考えられる女性の働き方の課題を聞いた。
働く女性の生の声を聞く
――そもそも、なぜこのような調査を行ったのですか。
川上敬太郎氏(以下、敬称略) 当社では多くの働きたいという主婦の方々から、日々、要望などいただくわけですが、そういったものが社会には十分伝わっていないなと。誰もがもっと働きやすくなる社会にしていくためには、働く主婦の生の声をきちんと届けていかないといけないと思ったのです。
実際、多くの主婦の人たちは、働いて自分自身もっと活躍したい、輝きたいと思っているのですが、世の中が主婦というものに対して誤解をしているところがあります。本当は人材としてもすごく優秀な人たちなのですが、「仕事は二の次で」「大した仕事はできない」「本腰を入れて仕事をしない」など、ある種の思い込みのような形で見られてしまいがちです。
だから、主婦層と呼ばれる人たちの考えや生の声を伝えて、その誤解を解いていくことによって、活躍の場をもっと広げていきたいと思いました。雇用創出をしようと思っても、受け入れる企業さんも、あるいは主婦の方ご自身も、自分の可能性に気づいていなければ社会は変わらない。ですので、7年前からデータを取って発信するというのを始めました。