最近、おじさんが意外な場所で働く姿を見かける。給料が上がらない。本当に年金もらえるの? AIに仕事を奪われる…! 将来の不安から副業を始める中高年男性が増えているのだ。おじさんたちはどんな副業をしているのか、どれくらい稼いでいるのか、あるいはまったく稼げていないのか。組織をはみ出し、副業を始める全力おじさんの姿をより深くレポートする。(若月 澪子:フリーライター)
祝トランプ当選?!
ドナルド・トランプ氏が米大統領選挙で当確になったと伝えられた直後、1BTC(ビットコイン)が1300万円を超えた。その後、11月20日現在では1400万円台まで上昇し、1年前と比べると2倍になっている。
仮想通貨を「謎のハイテク集団が、ブロックチェーンとやらで管理しているトンデモ通貨」という誤解と偏見の目で眺めている“情弱(情報弱者)”からすると、「ビットコインを持っている人にはとてもラッキーなんでしょ、知らんけど」くらいなことしか言えない。
でも、この状況にウハウハしている「副業おじさん」はどこかにいるはず。そこで、早速「ビットコインをやっています」というおじさんに、インタビューを申し込んだ。
「ビットコインを始めたのは1年前です。65歳の引退までに、10倍くらいに増えればいいかなと考えていましたが、いきなりこういう上昇があるとは!」
そんな興奮の声を上げるのは、関西にある総合病院で看護師として働いているJさん(50)だ。私服だと看護師とは思えないコワモテのおじさんで、眼光は鋭く、体もがっしりして、背も高い。
腕にはギラリと光る高そうな時計。ブランドまではわからないがご自慢の時計のよう。「素敵な時計ですね」とホメたところ、コワモテおじさんがちょっとはにかんだ。
「ああコレ、グランドセイコーです。今日はちょっといい時計をはめてます。自分の中では3番手くらいの時計です」
グランドセイコーで3番手……。とても羽振りがよさそうだが、ビットコイン、そんなに儲かるのか。
「いやいや、この時計はローンで買いました。そんなに急に儲かりませんよ」
ローンで高級時計を購入するイカついおじさんの素顔は「白衣の天使」。マンガみたいな設定である。