50歳も超えてくると、定年後の未来を副業で意識するようになる(写真:makoto.h/イメージマート)
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 最近、おじさんが意外な場所で働く姿を見かける。給料が上がらない。本当に年金もらえるの? AIに仕事を奪われる…! 将来の不安から副業を始める中高年男性が増えているのだ。おじさんたちはどんな副業をしているのか、どれくらい稼いでいるのか、あるいはまったく稼げていないのか。組織をはみ出し、副業を始める全力おじさんの姿をより深くレポートする。(若月 澪子:フリーライター)

【前編】そして50代会社員は日雇い労働者になった……副業解禁で試される市場価値、時間と身体を切り売りせざるを得ない現実

「生活のため」に副業する30代

 副業禁止だった国家公務員が、2026年4月から事実上の副業解禁となる。民間ではすでに2018年に、厚生労働省によって副業・兼業の促進に関するガイドラインが公表されており、「フードデリバリー」や「タイミー」などの副業が定着している。

 筆者はこれまでに「副業をしている」という40~60代前半の中年・中高年男性およそ150人に取材してきた。取材対象者は「本業以外に、収入を得る仕事をしたことがある人」である。ここに30代男性の副業経験者を加え、インタビューした人の情報を年代別にまとめた。

 今回は30~50代の男性が、副業に取り組む動機についてみてみよう。それぞれの動機をワードクラウドにまとめてみた。文字が大きいほど、人数が多くなる。

 まずは30代の副業の動機だ。

 30代では「生活費を稼ぐ」というワードが最も目立っている。この「生活費を稼ぐ」というワードが登場するのは、取材した30~50代のうち30代だけで、40代以降になると、「収入の補てん」というワードに置き換わる。

「生活費を稼ぐ」も「収入の補てん」も、同じような意味に感じるかもしれないが、切実さは「生活費を稼ぐ」ほうが高いと思われる。さらに30代では「将来への不安」「給料が上がらない」という声も大きい。

 とある中小企業で経理をしている30代男性は、土日に都内の民泊施設の清掃の副業を3年以上続けていると話していた。彼は「副業はタイパ」と話していたが、スキマ時間をお金に変えていこうという考えは、特に若い世代ほど顕著である。

 さらに名刺の作成・販売という副業をしていた30代の営業マンは、「いつか営業という仕事はなくなるのではないか」という不安を口にしていた。彼らは本業の将来に、何も期待しておらず、副業を通じて将来のリスクを分散させようと考えているようだった。

 ちなみに、18~64歳の男女を対象にした副業調査(独立行政法人 労働政策研究・研修機構 2023年)によれば、男性の中で最も副業ワーカーの割合が高いのが30代だ。副業する30代男性にとって、すでに副業は生活を支えるだけでなく、ライフスタイルの一部として組み込まれているのかもしれない。