日本にブルーカラービリオネアは存在するのか?(写真:makoto.h/イメージマート)
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 最近、おじさんが意外な場所で働く姿を見かける。給料が上がらない。本当に年金もらえるの? AIに仕事を奪われる…! 将来の不安から副業を始める中高年男性が増えているのだ。おじさんたちはどんな副業をしているのか、どれくらい稼いでいるのか、あるいはまったく稼げていないのか。組織をはみ出し、副業を始める全力おじさんの姿をより深くレポートする。(若月 澪子:フリーライター)

弁護士より配管工のほうが稼げる?

「いい大学に入らないと、いい仕事に就けないよ」

 日本人が子どもの頃から繰り返し聞かされてきた呪い。この呪いの呪文から解き放たれる日が来るのだろうか。

「アメリカでブルーカラービリオネアが生まれている」「日本でもこれから同じ現象が起こるのでは」という報道があり、世間がざわついている。

米国で「ブルーカラービリオネア」現象 AI発展で潤う肉体労働者(日経新聞)

 生成AIの進化でホワイトカラー職が減少し、人手不足のブルーカラー職の賃金が爆上がりするという「逆転現象」がアメリカで起こり、一部では年収2000万円を稼ぐ「ブルーカラービリオネア」が生まれているというのだ。

 弁護士や会計士などホワイトカラーの勝ち組より、水道の配管工や電気技師のようなAIに代替できない手に職のブルーカラー労働者のほうが稼げる時代が到来するとか、しないとか。

 確かに日本でも、一部のブルーカラーの給与はビリオネアほどではないが上がっている。

 ハローワーク飯田橋の「有効求人数・有効求職者数・求人賃金状況(令和7年10月)」によれば、事務職の求人倍率が1.1倍程度なのに対し、建設や土木や機械整備などは10~60倍の職業もあり、仕事が選び放題だ。月給も事務職より10万~20万円以上アップするものもある。工業高校出身者の就職に関しては、求人倍率が30倍近くになっているという報道もある

 というわけで、筆者のところに「日本でも、ホワイトからブルーに転職したビリオネアがいるのでは?」という問い合わせが、何人かの編集者からあった。ホワイトとブルーは、大卒と非大卒を隔てる「階級」の壁でもある。この大きな垣根を飛び越えられるのだろうか。