ブルーカラービリオネアはどこにいる?

 筆者は2022年ごろから、主にホワイトカラーの中高年男性を対象に、ブルーカラーやグレーカラーの「副業」をする人を取材してきた。「収入の補てん」や「セカンドステージの準備」などの理由で、ホワイトカラーの本業のかたわら、清掃や小売、配達などを副業にした人たちに話を聞いたのだ。

 えー、結論から申し上げますと、今のところブルーカラービリオネアは日本にはほとんどないんじゃないでしょうか。

 確かにこれまで取材した中には、中小の製造業の営業マンだった人が、内装工事の現場監督の副業をはじめ、そのまま独立した人がいた。この人はリーマンショックで勤務先の業績が悪化し、営業職の給料が下がり、ホワイト×ブルーの二足のわらじを12年続けた末の独立だった。

月給20万円で家族5人、12年の夜勤副業からつかみ取ったハッピーエンド(JBpress)

 この人は独立後の年収が300万円から700万円にアップしたから、ブルーカラー転職の成功例と言えるが、かなりレアなケースだと思う。そもそも、こうした大胆な転職が軌道に乗るまでには数年かかる。「手に職」の仕事は修業期間も必要だし、デスクワークや外回り程度の人材が肉体労働に移行するのも並大抵ではない。

 また、職業訓練機関の関係者に話を聞くと、「ブルーカラー職へのリスキリング(学び直し)が活況」という動きは今のところないという。

 やはり日本にブルーカラービリオネはまだいないのか。そこで、緊急アンケートを実施。インターネットで「5年以内に自分の意思で転職した20〜50代の男女」を募集し、どんな仕事に転職したのか、転職理由、年収が上がったかを質問した。

 回答してくれたのは20~50代の合計30人。簡単なアンケートなので厳密な調査とはいい難く、サンプルには偏りがあるが、ある程度の実態がわかるのではないか。