聖ナイチンゲールの未来やいかに

「15年後の65歳の時に、6000万円くらいになっているといい。それまではホールド(保有継続)です」

 もし65歳までに大きな利益が出たら看護師は辞めるかと聞いたら、「うーん、働かずに家に引きこもっていたら、糖尿病とか高血圧のリスクが高まりますね」と、いきなり看護師の発言をするJさん。

「患者のカスハラは腹が立つ。でも『ありがとう』は励みになりますよ。人間ですから……」

 ビットコインは暗号資産。実際にコインが存在しているわけではなく、バーチャルなお金だ。その暗号資産が世界通貨として円やドル以上の力を持ち、地球上を駆け巡る未来はそう遠くないのかもしれない。

 そして、ケア労働で消費される感情も、目には見えないが、人の心を満たしたり、すり減らしたりする。こうした見えない奉仕や感謝もブロックチェーンで暗号化し、やりとりを「正確に管理」できないものだろうか。

 いや、もしもそんなことができてしまったら、人生、おもろくないか。

*暗号資産への投資は確実なリターンを保証するものではありません。仮に投資する際は、ご自身の判断でお願いいたします。

若月澪子(わかつき・れいこ)
NHKでキャスター、ディレクターとして勤務したのち、結婚退職。出産後に小遣い稼ぎでライターを始める。生涯、非正規労働者。ギグワーカーとしていろんなお仕事体験中。著書に『副業おじさん 傷だらけの俺たちに明日はあるか』(朝日新聞出版)がある。