最近、おじさんが意外な場所で働く姿を見かける。給料が上がらない。本当に年金もらえるの? AIに仕事を奪われる…! 将来の不安から副業を始める中高年男性が増えているのだ。
おじさんたちはどんな副業をしているのか、どれくらい稼いでいるのか、あるいはまったく稼げていないのか。組織をはみ出し、副業を始める全力おじさんの姿をより深くレポートする。(若月 澪子:フリーライター)
主力メンバーは60代以上
新聞やテレビなどの「オールドメディア」は、ただの「お飾りメディア」になってしまうのか。
最近の選挙結果を受けて、オールドメディア関係者の狼狽ははなはだしい。SNSやYouTubeの拡散の威力は、人の欲望を肥大化させていく『千と千尋の神隠し』のカオナシのように、期待と憎悪と好奇心を取り込み伝播し続ける。
こうなると、独自の「公平性や公共性」にがんじがらめになっているオールドメディアは太刀打ちできない。
いや、そもそも新聞もテレビも見られていないのだ。
特に紙の新聞の凋落には目を覆うものがある。今年、毎日新聞と産経新聞は富山県内での配送を中止した。日経新聞や朝日新聞も、一部の地域で夕刊の発行を休止すると発表している。
こうした新聞の発送・発行休止は、発行部数の減少もさることながら、新聞配達員の不足と高齢化による影響も大きい。現在、新聞配達の主力メンバーは、外国人留学生やシニアだ。
しかし、新聞配達は60歳以上にとってリスクの高い仕事だ。配達中の新聞配達員が車などと接触する死亡事故はたびたび報道されている。ここ数カ月以内に起こった事故だけを見ても、被害者はほとんど65歳以上。暗い夜道をバイクで移動するため、視力や判断力の衰えが影響していると考えられる。
「新聞配達中にバイクで崖から落ちて、歯を二本折り、顔は7針も縫うケガをしました。この日はちょっと多めに130軒の配達を任されていまして、ちょうど50軒目あたりを配達し終えた時、曲がる方向を間違えて……」
長崎県在住のKさん(61)は、6年ほど前から新聞配達を副業にしている。白髪交じりの頭に眼鏡、ノーブランドのウィンドブレーカーに身を包み、朴訥と話す中高年男性だ。