まるで現代のモダンタイムズ(写真:Everett Collection/アフロ)

「あれ、こんなところでおじさんが働いてる……」

 近年、非正規労働の現場でしばしば「おじさん」を見かける。しかも、いわゆるホワイトカラーの会社員が、派遣やアルバイトをしているケースが目につくのだ。45歳定年制、ジョブ型雇用、そしてコロナ──。中高年男性を取り巻く雇用状況が厳しさを増す中、副業を始めるおじさんたちの、たくましくもどこか悲壮感の漂う姿をリポートする。

(若月 澪子:フリーライター)

日雇いバイトの「下流」の食品工場

 副業バイトを経験したホワイトカラーおじさんたちが、「もう絶対にやりたくない」と声を揃える現場がある。それが食品工場だ。食品工場は仕事が単純でつまらないうえに、危険が多く、働いているパートさんに意地悪な人が多いという証言は、これまで数々の中高年男性や派遣会社の社員などから聞いた。

 住宅ローンの支払いのために、週末に倉庫でバイトしている大企業勤務のある50代男性は、「食品工場は一度だけ働いたけれど、もうすごかった」と困惑気味に話していた。

 食品工場、一体何がそんなにすごいのか。そのすごさを味わうため、筆者は東京郊外にあるスイーツ工場の「時給1400円、1日からOK」という求人に応募した。

 工場に出勤する時間は朝8時。工場の最寄り駅から、送迎用のマイクロバスに乗り込み工場に向かう。乗り込んだのは50~60代くらいの女性が多く、夏休みのせいか同じくらいの数の大学生もいる。

 そして6~7人に1人、60歳前後と思われる中高年男性が混じっていた。服装やたたずまいで、ホワイトカラー経験者だということは、なんとなくわかる。

 週末などに副業でバイトするホワイトカラーに人気なのは、試験監督やワクチン接種会場の案内係だ。だが、それら定員が埋まってしまうと、おじさんたちは物流倉庫などのバイトを選ぶ。それでもいい仕事なければ、次に候補となるのが食品工場である。

 日雇いバイトの中でも、食品工場は下流の位置にあるのだ。