連日報道でも取り上げられるパワハラ事件

パワハラ防止法で定義されている「6つの言動」

 パワーハラスメントを報じるニュースが続いています。沖縄県豊見城市では、市長などからパワハラを受けたとする職員3名が賠償を求めて訴え、富山県舟橋村では40代の職員が繰り返しパワハラを行っていたとして、弁護士などによる第三者委員会が調査する事態に発展しています。

 ほかにも、「野良犬と一緒」などとウクライナ人社員が暴言を吐かれた企業や、生徒を「カス」呼ばわりする学校理事長、議員同士や警察署の上司部下など、あらゆる職場でパワハラが起き続けています。

 パワハラはかねて社会問題として認識されており、2020年6月に労働施策総合推進法が改正され大企業のパワハラ防止措置が義務化されました。いわゆるパワハラ防止法です。2022年4月からは中小企業にも適用範囲が広げられて全面施行されています。

 パワハラ防止法では、パワハラについて以下のように定義しています。

【職場におけるパワーハラスメントは、職場において行われる(1)優越的な関係を背景とした言動であって、(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、(3)労働者の就業環境が害されるものであり、(1)から(3)までの3つの要素をすべて満たすものをいいます。なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません】

 また、代表的な言動として6つの類型が掲げられています。

(1)身体的な攻撃(暴行・傷害)
(2)精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)
(3)人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
(4)過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)
(5)過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
(6)個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)