意外にブラックだったビザデリバリー(写真:アフロ)

「あれ、こんなところでおじさんが働いてる……」

 近年、非正規労働の現場で、しばしば「おじさん」を見かける。しかも、いわゆるホワイトカラーの会社員が、派遣やアルバイトをしているケースが目につくようになった。

 45歳定年制、ジョブ型雇用、そしてコロナ──。中高年男性を取り巻く雇用状況が厳しさを増す中、副業を始めるおじさんたちの、逞しくもどこか悲壮感の漂う姿をリポートする。

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(若月 澪子:フリーライター)

「副業の森」をさまようおじさんの共通項

 政府が副業を積極的に推進した2018年は、「副業元年」と呼ばれている。「多様な働き方」「オープンイノベーション」などきれいな言葉が掲げられていたが、要するに「年金はあんま期待できないから、ほかにも仕事探しといて」ということだろう。

 あれから4年。今、世のおじさんたちは、「副業の森」をさまよっている。

「副業をしたいけど、何をすればいいのかわからない」
「稼げる副業とは何だろう?」
「ちょっとでも稼ぎたいのに稼げない」

 副業の森には、おじさんたちの怨嗟の声が響く。副業で月3万円稼ぐだけでも、苦戦する中高年男性は多い。

 これまでに20人以上のおじさんに話を聞いたが、副業の森をさまようおじさんには、だいたい次のようなフェーズがある。

(1)夢見がち期
「経験や知識を活かした副業をやりたい」と考えるも、何から手をつけたらいいのかわからず、ネットをさまよう。

(2)とりあえず期
小遣い稼ぎになりそうなアンケートモニターやポイ活(ポイントを貯める活動)にとりあえず取り組む。

(3)クリエイティブ期
ブログや動画の投稿をしてみるが、フォロワーが増えず更新が滞る。もしくは、ウェブライターなどの副業に応募するも、「研修費」と称してお金を要求される上に、報酬の安さに絶望する。

(4)開き直り期
結局、手っ取り早く現金が手に入る、時給1000円前後の肉体労働のバイトにいそしむ。もしくは「人の役に立ちたい」と福祉、教育系バイトに携わるも、賃金の安さに挫折する。

(5)絶望とあきらめ期
バイトの労働条件の悪さに辟易し、好条件を求めてバイトを転々とする。もしくは、振り出し(1)に戻る。

 中高年男性は副業の「正解」を求めて(1)~(5)の間をウロウロする。今日も、副業の森で迷っているおじさんに出会った。