
(廣瀬 涼:ニッセイ基礎研究所 生活研究部 研究員)
少しずつ市場で存在感を増す「α世代」とは?
「α世代(アルファ世代)」という言葉を聞いたことがあるだろうか? 2010年ごろから2024年に生まれた若者を指す。2025年に最年長が15歳になり、世代の大半が現在小学生である。
これまで若者という言葉を代替するように使われ、今では耳にする日がないくらい定着したZ世代は、1996年~2012年に生まれた層を指し、上は28歳前後のいわゆるアラサーも増えてきている。
Z世代は所得も増え、結婚して、家庭をもって、仕事で役職に就き始めるといった、それ以前の世代と同じライフコースに身を置くようになり、その前の「Y世代」との価値観の差が縮まっているようにも見える。
直近ではまだまだZ世代の消費がトレンドを生み出していくとは思われるが、若者の消費トレンド調査として例年メディアが注目する「JC・JK流行語大賞」(マーケティング企業のAMFが主催・運営)においてはα世代が調査対象になり始めており、少しずつ市場においてもその存在感を増してきている。
Z世代の「Z」がアルファベットの最後の文字ということもあり、ここ数年その次の世代は何かと聞かれることも多かったが、実は15年以上前の2008年にはもう次の世代の呼び方として「α」が候補として挙がっていた(しかも、今年生まれた子どもたちはもうα世代ではなく、β世代というのだから驚きだ)。
では、なぜ彼らはαと呼ばれているのだろうか。その理由を知るには1950年代にまでさかのぼる必要がある。