
暮らしの中で日々支払っている「税」に注目が集まっています。課税主体によって区分すると、税は大きく分けて「国税」「地方税」の2種類です。この地方税の中には「法定外税」と呼ばれる税金が存在します。主には地方独自の課題を解決するための財源とされますが、その仕組みや種類は意外と知られていないかもしれません。「法定外税」をやさしく解説します。
地方税法にない「新たな税」
「地方税」と聞いて、まずどんな税を思い浮かべるでしょうか。
住んでいる自治体に納める住民税、毎年支払う自動車税などの車体課税、タバコ代に含まれるたばこ税、温泉地のホテルで支払いが生じる入湯税……。さまざまありますが、これらはみな「地方税法」で徴収や使途が定められています。
一方、都道府県や市町村といった地方公共団体には「地方税法に定められた税以外に、新たな税を新設できる」(全国知事会)という権利があります。この権利に基づき、地方公共団体が条例で新設する税が「法定外税」です。一般的な税と同じように、使途を定めない「普通税」と、当初から使途を限定する「目的税」に分けられ、使い道そのものも地方団体が自分で決めることができます。
総務省によると、2023年度決算における法定外税は全国で70件(普通税23件、目的税47件)、実施団体は58団体(34都道府県、24市区町村)でした。合計決算額は817億円で、これは地方税収全体の0.19%に当たります。
法定外税の種類を具体的に見ていきましょう。総務省の「法定外税の実施状況」(2021年度決算ベース)を見ると、全国各地で、地域の実情に応じたさまざまな税が導入されていることが分かります。
まずは、使途を定めていない「法定外普通税」です。
目を引くのは「核燃料税」です。関西電力・美浜原子力発電所のある福井県、四国電力・伊方原子力発電所のある愛媛県、九州電力・玄海原子力発電所のある佐賀県などが導入しています。名称は異なるものの、同趣旨のものを含めると、原発の核燃料には12道県が法定外税をかけていました。
原子炉への核燃料挿入や、原子炉施設における使用済み燃料の貯蔵といった行為が課税対象となり、納税者義務者は「原子炉設置者」「原子力事業者」など、つまり電力会社です。2021年度の税収は、最も多額の福井県で109億円。佐賀県は29億円、愛媛県は17億円などでした。