
この春、政府・与党が退職金の課税強化を検討していることに対し、就職氷河期世代から一斉に「この世代をまた苦しめるのか」という反発が湧き上がりました。反発の背景には、この世代特有の事情があります。おおむね1993〜2005年に学校を卒業し、新卒で就職活動を行ったのが就職氷河期世代ですが、彼らには社会のどんな歪みが映し出されているのでしょうか。やさしく解説します。
石破首相の発言にSNSで怒り爆発
今年3月5日の参議院予算委員会。
自らも就職氷河期世代である立憲民主党の吉川沙織議員が質問に立ち、自民党の税制調査会で検討されている退職金への課税問題を取り上げました。吉川氏は、自民党内での検討内容からすると、ちょうど就職氷河期世代が退職時期を迎える頃に課税が強化されると指摘。「退職後の生活や人生設計に影響甚大。拙速な見直しは避けるべきではないか」とただしました。
これに対し、石破首相は「拙速な見直しはいたしませんが、慎重な上に適切な見直しをすべきだと思っております」と答弁しました。課税強化は実施する、それを曲げることはない、という宣言です。
3月19日の参議院予算委員会でもこの問題は焦点になりました。質問に立ったのは立憲民主党の田島麻衣子議員です。
「私自身も氷河期世代の1人です。友人たちは本当に就職活動に苦労していました。そしてやっと、やっと就職できた企業でずっと働いて20年を超えてきている友人たちもいます。その退職金に増税するんじゃないかと。物価高で生活は大変ですよ。就職氷河期世代の皆さんに対して、退職金の増税をやめていただけませんか」
こう迫った田島氏に対し、石破首相はこれまでと同様の答弁を繰り返し、課税強化の方向を撤回しませんでした。さらに後日の国会審議では、通勤手当への課税も検討していることが明らかになり、SNSでは就職氷河期世代を中心に猛烈な反発が湧き上がったのです。
「退職金、年金と就職氷河期世代は最後までむしり取られるのかな」
「日々イラっとくるニュースが多い。通勤手当、退職金等等に課税とは。 就職氷河期を経てバブルで作った負債を返す為に会社で真面目に働き、貰えぬ年金を真面目に払う、何も良き事無しではないか。火がつくわな。流石にもう無関心ではいられん」
「自民党は40代の人生をなんだと思っているんですか。ボーナス課税も(就職氷河期世代が社会に出る)2003年からでした」
「最後までむしり取られる」と言わしめる就職氷河期世代とは、どのような世代なのでしょうか。