セクハラにも耐えた
明確な定義はありませんが、就職氷河期世代とは一般には、1993~2005年ごろに新卒で就職活動をしていた世代を指します。生まれ年で言えば1970〜1982年で、実数はおおよそ2000万人。日本の総人口の6分の1がこの世代に属しています。
氷河期の始まった1993年はバブル経済の崩壊から2年後で、各企業の業績悪化が採用活動を直撃し始めた年です。当初、バブル崩壊の悪影響は一時的なものという考え方もありました。

しかし、その後の消費税率の引き上げ、大手金融機関の相次ぐ経営破たんなどにより、深刻な不況が継続。「失われた10年」「失われた20年」などと呼ばれるようになりました。
就職率や有効求人倍率の推移を見れば、この世代の深刻な状況が浮き彫りになります。
文部科学省の学校基本調査などによると、従業員500人以上の企業が高卒・中卒者を対象に出した求人数は、1992年にはおよそ34万人に達していました。ところが、翌年の氷河期入り以降、求人数は減少の一途。氷河期最後の2004年には約3万人にまで減少しています。業種別での推移を見ると、同じ期間、製造業の求人は約70万人から約8万人に激減しました。
大卒も同様です。内閣府のデータによると、就職氷河期の就職率は平均69.7%で、平年より10ポイント以上も少なくなっています。とくに1990年代末の金融危機後には一気に悪化し、2000年には63.3%、2003年には過去最低の55.1%を記録しました。
2人に1人が就職できない年もあり、新卒で「無業者」となるケースが続出。2000年には新卒の無業者が18万人に達したとされています。「100社にエントリーしても面接にさえ呼ばれない」「セクハラに耐えながら就活を続けた」といった悲痛な声があふれたのも、このころです。
2004年以降は景気が回復し、新卒者の採用は再び活発になっていきます。しかし、既に社会に出ていた氷河期世代の人たちの中には、正規雇用に就くことができず、期間限定社員やパート・アルバイトなどの非正規雇用を繰り返しながら年齢を重ねた人が大勢います。十分な収入がなく、安定した生活を送ることができなかったため、結婚できず、年老いた親と一緒に暮らすケースも少なくありません。
彼らは後に「ロスト・ジェネレーション」「ロスジェネ」世代と呼ばれるようにもなりました。