テレワークが切り開く可能性とは。

 2018年1月から2月にかけて、日本各地は大雪に見舞われた。日本海側では、鉄道車両や自動車の立ち往生などが注目を集めたが、東京でも1月22日には23cmの積雪を記録し、会社勤めの人たちの通勤に大きな影響を及ぼした。

「こんな日に出勤しなければならないのか」など悲痛な声が聞かれたが、裏を返せば、それは、「会社に出勤しなければ仕事はできないのか」という問いにもつながる。たとえば、テレワークの活用が考えられないだろうか。

 昨今、叫ばれている「働き方改革」の中でも、テレワークの活用が謳われている。2017年には、7月24日を「テレワークデイ」と名付け、趣旨に賛同する企業がテレワークへの取り組みをさまざまな形で提示した。今回の大雪のような事態に際しても、テレワークを導入していた企業や労働者は、特に問題なくスムーズに業務を継続できたのではないだろうか。

 テレワークは、今後、日本の社会でどのような活用をされていくのだろうか。また、もし広がっていくとしたら、そのために必要なカギは何なのだろうか。

 その疑問を考える上で、ヒントになりそうな本がある。2017年7月に発行された、森本登志男著『あなたのいるところが仕事場になる』(大和書房)だ。

 著者はかつて佐賀県の最高情報統括監(CIO)として、全職員がテレワークを実施できる環境を導入した。その経験や視点から、テレワークを先行して取り入れてきた企業の事例や、テレワーク社会に期待を寄せる中央省庁や自治体へのインタビューを交えながら、日本社会のおけるテレワークの可能性を、地域社会も含めた日本全体の課題の解決策として議論している。