テレワークの普及は何をもたらすのか。

 2017年3月28日、「働き方改革実行計画」がまとめられた。一億総活躍社会の実現をめざして、安倍首相を議長とし、有識者・労使の代表者から構成される「働き方改革実現会議」で議論されてきた内容の集大成である。検討すべき9項目のテーマと、それぞれに対する具体的な施策、2020年時点で達成すべき目標が掲げられている。

 この実行計画を前進させるためには、それぞれの目標に対して、現在どの地点にいるのかを定期的に観測することはもちろん、期待する効果が出ているのか、また、出ていないのであれば、その要因を分析していくことが必要になる。しかし、これらは既存の公的統計だけでは捉えられないことも多い。

 そこで、筆者が所属するリクルートワークス研究所では、全国の人の働き方を追跡調査する「全国就業実態パネル調査」(2016年に第1回を実施)の2年分の調査結果に基づいて、働き方改革の進捗を分析、報告書を公開した(2017年6月23日公開『働き方改革の進捗と評価』)。

 今回は、7月24日の「第1回 テレワーク・デイ」を前に、2016年の「テレワーク」の実態と、特に、よく言われている「テレワークは長時間労働を招くのか?」という疑問について、リクルートワークス研究所の検証結果を紹介したい。

「働き方改革実行計画」では、時間や空間の制約にとらわれることなく働けるテレワークは、子育てや介護と仕事の両立を可能にし、多様な人材の能力発揮につながると期待されている。一方で、長時間労働を招かないよう、留意する必要があることも述べられている。

 実際、テレワークの導入をためらう企業が、労働時間管理に不安を持っているという声を聞く。「目が届かない離れた場所でも、従業員がきちんと仕事に向かい、仕事を終えられるのか」。テレワークの導入を進めるためには、この疑問に答えるエビデンスが必要だ。