ここまで見てきたように、「全国就業実態パネル調査」では、制度としてテレワークを活用する場合、

(1)長時間労働を招いていない
(2)男性の家事育児時間は1日あたり32.1分長い
 

ということが定量的に示された。

テレワークで生産性は下がるのか

「長時間労働を招かないことは分かったが、サボって、生産性が下がるのではないか」という懸念が残るかもしれない。これに対しては、(データではなく)1人のテレワーカーとして「NO」だと答えたい。

 企業側からすると、従業員を目の前で管理できなくなるテレワークは、働く個人にとっては、働いている姿でもってアピールできなくなるということを意味する。テレワーク経験者なら、感じたことがあるのではないか。「見られていない分、成果を出さないと、何もしていないと思われるので焦る」という感覚を。

 テレワークとは、アウトプットで評価されるという環境に置かれるということだ。この状況でサボるのは、よっぽど勇気がいることだ。

 柔軟な働き方の選択肢として推進されるテレワークは、長時間労働を招かず、家事育児時間を増やす。そして、企業や私たちに染みついている、働いている姿を評価、アピールするという悪しき習慣を見直すきっかけにもなる。

 この先、テレワークが多くの人の選択肢として当たり前になったとき、会社で長時間労働をするという姿は、過去の遺物となるかもしれない。