ベンチャー気質の会社に家族を持つ社員が増えた
社員の働き方で注目を集める中小企業がある。東京都中央区に本社を構えるラクーンだ。GPTW(「働きがいのある会社」を選定する国際的な調査機関)による2017年度「働きがいのある会社(従業員100-999人部門)」ランキングのベストカンパニー、一般財団法人日本次世代企業普及機構による「第2回ホワイト企業アワード」の「女性活躍部門大賞(東日本)」を立て続けて受賞している。
創業は1993年。現社長、小方 功氏の個人事業からスタートし、2016年3月に東証一部に上場した。現在はメーカーと小売店の販路開拓から決済までを一貫して行う「スーパーデリバリー」、企業間取引の売掛を保証する「T&G売掛保証」、請求から代金回収までを一括で行う「Paid」、事業間の受発注管理システム「COREC」など、“企業活動を効率化し便利にする仕組み”として複数のBtoBサービスを展開している。
そんなラクーンでは、女性の管理職割合が25%と全国平均よりも高く、産後の復職率は100%を実現している。男女問わず、出産・育児と仕事の両立、キャリア継続を支援する独自の支援制度「はたらくーん」が整備されており、名実ともに働きやすさが伺える。
「昨今の働き方改革の波に乗ろうと、人事が急ピッチで制度改革を行ったのだろうか」と、ついうがった見方をしてしまうが、ラクーンの場合は決してそうではない。
「以前はベンチャー気質も強く、勤務時間も長かったのですが、創業20年を迎えて社員の平均年齢も徐々に上がってきたこともあり、経営層も含めて家族を持つ社員が増えることで、仕事と家族との時間のバランスを重視する流れへと変わっていきました」と社長室長の督永由紀氏は話す。
「仕事も一生懸命やると同時に、遊びも一生懸命に楽しむ大人になりなさい。遊ぶことができないと、つまらない大人になってしまう。遊びから得られるものの中には仕事に有益なものもあるはずだ」とトップが発するようになったのは、約5年前のこと。
ラクーンでは業務効率化を支援するサービスを提供していることもあり、“仕事を効率化して早く帰り、プライベートも充実させよう”というメッセージは、社員にとって受け入れやすいものだったのだという。