日本型雇用の“正社員プレミアム”が格差を固定する

 一方、社員には会社の一員として仕事をえり好みせず指示された職務をこなし、長時間労働も厭わない献身的な姿勢が求められます。

 こうしたメンバーシップ(一員)型雇用の下、雇用期間も職務も勤務地も無限定な正社員という特有の雇用形態が、日本では長く標準とされてきました。職務ごとに限定された契約を交わし、会社側の意思で自由に配置転換させられない欧米のようなジョブ型雇用とは根本的に異なるシステムです。

 日本の職場にとって、正社員はどんな勤務地のどんな職務にも異動させられる万能人員である分、賃金相場も高く設定される傾向にあります。同一労働同一賃金の考え方が浸透しつつあるとはいえ、同じフルタイムで働いたとしても、アルバイトや契約社員のように雇用期間や職務などが限定された非正規雇用と正社員とでは賃金に差が生じます。

 正社員に占める男女差は、一目瞭然です。労働力調査によると、2024年の雇用者数に占める比率は男性53.7%に対し女性は46.3%。しかし、正社員に限ると女性が占める比率は35.6%にとどまります。男性が占める比率は64.4%。正社員の比率が低ければ、女性の賃金が男性と比べて相対的に低くなるのは、構造上当然のことです。

 さらに、男女間の賃金格差を決定的にしている要因として、役職者の比率があります。

「男女共同参画白書(令和7年版)」によると、係長級に占める女性の割合は2024年に24.4%、課長級では15.9%、部長級になると9.8%にまで下がります。残りのおよそ8~9割を男性が占めているわけですから、やはり女性の賃金は低くなってしまいます。

 ただ見方を変えれば、男女の賃金格差は正社員と管理職に占める女性比率が上昇すれば解消するとも言えます。

「賃金構造基本統計調査」によると、一般労働者における男性を100とした場合に、女性の賃金は2024年に75.8。2005年の65.9と比べると、約20年で10ポイント程度上昇しています。年によって多少の上下はあるものの、男女賃金格差は着実に改善してきている様子がうかがえます。

 しかしながら、その歩みは約10年で5ポイント程度というスローペースです。まだ25ポイント近い差があることを考えると、女性の賃金が男性に追いつくまでに単純計算で50年程度を要することになります。

 今後ペースアップしていけるかどうかは、正社員と管理職に占める女性比率の上昇度合いが鍵を握ることになりそうです。