ラクダでドライブスルーを訪れるカタールのドッキリ企画。世界中で愛されるテレビバラエティの伝統芸に含まれるメタバース的要素とは(写真:NEWSFLARE.COM/Caters/アフロ)

(角田陽一郎:バラエティプロデューサー、文化資源学研究者)

 メタバースという言葉が耳目を集めるようになってだいぶ経ちました。皆さんはメタバースをどうとらえているでしょうか?

本格化しだした金儲け、慎重なテレビ界

 今年に入って足元では、「仮想空間(メタバース)上の土地に投資するファンドを設立する動きが出てきた」(日経電子版2023年1月16日:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB23A4J0T21C22A2000000/)という記事や、「JASRACがメタバース上の有料バーチャルライブにライセンス料が発生することを明言」(オンラインメディアascii.jp 2023年01月17日:https://ascii.jp/elem/000/004/120/4120709/)といったニュースが相次いで出ています。

 あるいは「模倣行為の差し止め請求権、メタバースも対象へ 知的財産の改正法案」(朝日新聞デジタル2023年1月17日:https://www.asahi.com/articles/ASR1K565WR1KUTFK009.html)という記事もありました。

 メタバース空間での「お金の儲け方」について、いろんな企業や団体が本格検討を始めてきた。そして当局は、それに対する規制の整備に乗り出した――。

 これらの記事は、そんな現状を映し出しているように見えます。

 一方で、私が関与しているテレビや芸能界は、まだ様子見段階のようです。

 実は、皆さんが思っている以上に保守的なのがテレビや芸能界です。積極的に乗り出すというよりは、自分達の今までの既存のビジネスと競合すると感じて、むしろ消極的な雰囲気さえ感じられます。

 テレビ業界は今後、どんなスタンスでメタバースとかかわるのか。その可能性について考えてみたいと思います。