過去1年間に米マイクロソフトからAR(拡張現実)関連の人材約100人が流出したと、米ウォール・ストリート・ジャーナルが1月10日に報じた。
同社はAR端末「ホロレンズ」を手がけている。米テック大手の多くがこの技術に注目し関連ハードウエアやソフトウエアの開発を急ぐ中、市場にいち早く参入したマイクロソフトの技術者がヘッドハンティングの対象になっている。
ベテラン技術者引き抜き、2倍の給与提示も
マイクロソフトの元社員によると、引き抜きの対象となった人にはホロレンズの開発に携わったベテラン技術者も含まれる。一部の人は移籍企業から以前の2倍の給与を提示されたという。
ビジネス向けSNS(交流サイト)、リンクトインに掲載されたプロフィールによると、過去1年でマイクロソフトを去った元ホロレンズチームのメンバーは70人以上に上る。そのうち約40人がメタ(旧フェイスブック)に移籍したという。
マイクロソフトで長年、顧客フィードバックチームを率いてきたある人物は昨年夏にメタに移籍した。ホロレンズのディスプレイ技術に携わっていたもう1人の人物は数カ月前にメタのディスプレイ関連部門ディレクターに抜てきされた。
マイクロソフトはホロレンズチームの詳細を明らかにしていないが、「社員の自然減は多くのチームが常に直面する課題であり、当社は社員維持のためにできる限りのことを行い、必要に応じて新規採用も行っている」と述べたという。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると米テック大手が競合大手や中小企業から人材を引き抜くことは珍しくない。だが、メタのような大手が急成長しようとする際、その規模とスピードが際立つという。これにより報酬水準が上昇し、中小企業は太刀打ちできなくなる。また、米アップルもメタに人員を奪われている企業の1社だという。