民放の他局のトップは59~67歳である。ダルトン社による「フジの取締役会のメンバーの平均年齢は日本のどの企業よりも高い部類に入る」との指摘は的外れではない。
港氏を社長に指名したのは誰かというと、フジ関係者は「日枝氏」と口を揃える。なぜ、港氏を指名したかというと、自分の年齢と近く、やりやすいからと言われている。
誰が責任を取るのか
「日枝氏は取締役会では今も中央に座る。社長を決めるだけでなく、主だった幹部たちの人選にも目を通す」(フジ関係者)
日枝氏は局の司令塔だった編成局長時代の1982年に視聴率3冠王を達成。1988年に社長に就き、3冠王を1993年まで続けた。
日枝氏は視聴率も売上高も下位だったフジを民放界のリーディングカンパニーに押し上げた。1992年に創業家である鹿内家の排除に成功したこともあり、フジの絶対的権力者になった。
一方で日枝氏と港氏の体制を不安視する声もある。権力が二重構造化するからだ。
今、フジは業績が落ち込んでいる。2023年度は全日帯(午前6時~深夜0時)の個人視聴率とCM売上高がともに民放主要4局の中で4位。今年度の上半期(昨年4月上旬〜同9月末)もやはり視聴率もCM売上高も4位である。
誰が責任を取るかというと、おそらく港氏だろう。日枝氏が絶対的権力者でありながら、社長が実質的に責任を取るという状態がずっと続いている。日枝氏が2001年に社長を退任したあと、6人の社長が就任し、退いた。
「辞めた社長の中には日枝氏に対し『一緒に辞めましょう』と勧めた人もいたが、同意を得られなかった」(フジ関係者)
業績の落ち込みと中居絡みの問題。今回は誰が責任を取るのか。そもそもリーディングカンパニーが色褪せてしまったのはどうしてなのか。6月の株主総会は大荒れになりそうだ。