今回の問題の発端である中居と女性のトラブルがあったのは一昨年6月。中居が高額の和解金を支払い、示談が成立している。その際、守秘義務契約が交わされたため、ともにトラブルの中身については沈黙している。

 ただし、女性の代わりに証言している人物がいる。女性と近しいXさんである。守秘義務契約は当事者間で結ばれるため、これなら契約違反には問われない。

 Xさんによると、トラブルの発生当夜は中居と女性、フジ部長たちの複数人で食事をするはずだった。場所は中居宅。だが、部長たちは直前になって約束を反故にした。

 女性は中居と2人きりになってしまい、トラブルが起きた。この説明通りなら、すべて中居と部長が仕組んだものだと見られても仕方がない。

初動で悪手を打ったフジテレビ広報

 これに対し、フジは昨年12月27日に声明を出し、部長のトラブルへの関与を全面否定した。

「当該社員(部長)は会の設定を含め一切関与しておりません。会の存在自体も認識しておらず、当日、突然欠席した事実もございません」(フジHPより)

 さらに、この件の報道などに対しては「誹謗中傷や名誉棄損は看過できぬ」(同)とし、法的措置をほのめかした。強気だった。

 しかし、フジの声明は説明不足だった。一方的に部長の関与を否定したものの、その明確な根拠を示さなかったからである。広報手段としては悪手だった。

 銀行を筆頭に一般企業の広報はエリートが揃った戦略的部署。危機管理やイメージアップ戦略など企業全体に関わる業務を担う。テレビ局の広報もエリート揃いなのだが、手法は旧態依然としている。

 放送記者クラブ員、友好的な記事を書いてくれるライターとの付き合いを大切にする一方で、雑誌は局の批判記事も遠慮なく書くから、基本的に相手にしない。無視である。

 友好的な記事を書いてくれるライターをつくるために利益供与や便宜供与に熱心な局もある。一般企業の広報とは大きく懸け離れている。これでは週刊誌が発信元のスクープに対応できるはずがない。