(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)
フジテレビの体質に染みついたタレント偏重主義
女性とのトラブルが発覚した中居正広が芸能界から消えた。そして、このトラブルにフジテレビの編成幹部が関与していたことが報じられると、同様の被害を訴える女子アナウンサーまで現れ、まるで女性社員や女子アナウンサーをタレントに〈献上〉〈上納〉するかのような同局の体質や、この問題に対する経営幹部の姿勢に批判が集まっている。
私はかつて、フジテレビの報道情報番組にスタッフとして携わり、またドキュメンタリー作品(『麻原法廷漫画』というアニメを使った作品など複数)を制作して放送されてきた。フジテレビには感謝もしているが、そこで体験したり、見聞きしたりしたことをふまえて、この問題について言及してみたい。
今回の問題の本質に横たわるもの。遠因にあたるもの。それは、タレント依存の番組作りや染み付いたタレント偏重の体質があるように思えてならない。
まずは経緯を整理しよう。
『週刊文春』が報じたところによると、2023年6月、女性(X子さん)は中居やフジテレビの編成幹部A氏を交えた複数人で会食を行う予定だった。ところが、
【中居以外の参加者が現れなかったのだ。その後、彼女は中居から意に沿わない性的行為を受け、トラブルに発展。双方が代理人弁護士を立て、中居は九千万円の解決金をX子さんに支払ったという】(『週刊文春』1月16日号より)
「意に沿わない性的行為」があったのなら、もはや「トラブル」というより犯罪行為である。こうした騙し討ちのような状況を仕組んだのがA氏とされる。