労組といえば春闘のこの風景=2024年(写真:共同通信社)

3月中旬に予定されている春闘(春季生活闘争)の集中回答日に向けて、労働組合と経営側の賃上げ交渉が本格化してきました。これら労使交渉の主役「労働組合」は、かつては力が強大でストライキも頻繁に起きていました。近年は組織率が大きく低下しており、「身の回りに労組がない」「組合活動など見たこともない」という人も少なくありません。では、労働組合とは、そもそもどんな存在なのでしょうか。やさしく解説します。

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大幅な賃上げ目指す労組

 自動車部品大手のデンソーは2月17日、賃金全体を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給を含め、平均で2万3500円引き上げるほか、ボーナスを年6.3カ月分支給すると発表しました。いずれも過去最高額です。しかも、労働組合側の要求に対して、たった5日間での満額回答でした。

図:フロントラインプレス作成
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 ことしの春闘では経営側の回答はまだ出揃っていませんが、大企業を中心に労組側の要求は出揃いつつあります。トヨタ自動車グループ各社の労働組合が加盟する全トヨタ労働組合連合会によると、加盟118社の労組の賃上げ要求総額(定期昇給分を含む、トヨタ自動車本体は含まず)は平均1万7939円。比較可能な2000年以降では最高水準になりました。NECや富士通、東芝なども前年実績を上回るベアを要求しています。

 日本労働組合総連合会(連合)の芳野友子会長はことし1月末、「ここ数年の賃上げの流れを停滞させることは絶対にできない。賃金、経済、物価を安定した巡航軌道にのせる春闘にしていきたい」と述べました。前年の春闘では、賃上げ率が平均5.1%で、1991年以来の水準。その勢いを止めることなく、労組の力を存分に発揮して2年連続の大幅賃上げを実現させようというわけです。