日本テレビ『月曜から夜ふかし』の街頭インタビューについて、BPOは「恣意的な編集」とした
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日本テレビのバラエティー番組『月曜から夜ふかし』が街頭インタビューの映像・音声を捏造したことについて、放送倫理・番組向上機構(BPO)は放送倫理違反と認定した。BPOは過去の不祥事の反省が活かされなかったことを嘆くが、そこに無力感が漂う。もはや放送局の自浄作用に期待するのは「お花畑的発想」である。BPOの権限強化なり、業界が 自らを厳しく律する仕組みを構築しないと、視聴者の冷ややかな視線は強まるばかりだろう。

(岡部 隆明:ジャーナリスト)

声の順序を変え、発言を捏造

 意外な事実を提示されると好奇心が掻き立てられます。それが自分の認識と離れているほど、人は面白いと感じるものです。この心理は、バラエティー番組において巧みに使われてきた手法です。番組制作者は常に意外性や新奇性を追求し、視聴者の驚きを演出するために知恵を絞っています。

 しかし、その追求の延長線上にある面白さへの過剰な執着が、しばしば倫理を逸脱させてしまいます。

 その典型例が、日本テレビのバラエティー番組『月曜から夜ふかし』(3月24日放送)で起きた問題です。BPOによって「放送倫理違反」と認定されましたが、問題の核心は、街頭インタビューで紹介した取材対象者(中国人のA氏)の発言が、実際のものとは全く異なる内容に編集されたことでした。

【放送されたA氏の発言】(BPO発表資料より)
「バルコニーにカラスが来てハンガー持っていったのを見て、それからはもう外で乾かさないです」「あんまり中国カラス飛んでるのがいないですね。みんな食べてるから少ない。とにかく煮込んで食べて終わり」

 この放送を見たA氏が、SNS上で、「放送されたような発言をしていない」と投稿したことで、”恣意的な編集”が発覚しました。

 異なるテーマでのA氏の発言を、インタビューした担当ディレクターが編集作業で音声の順序を変えたということです。