記者会見する井上尚弥選手(写真:共同通信社)

(田中 充:尚美学園大学スポーツマネジメント学部准教授)

 ボクシングの4団体統一スーパーバンタム級王者、井上尚哉選手(大橋)の次戦が12月24日に決まった。会場は東京・有明アリーナで、対戦相手はIBF、WBO同級1位のサム・グッドマン(オーストラリア)。試合はNTTドコモの映像配信サービス「Lemino」(レミノ)で独占無料生配信され、入場チケットは最高27万5000円となる一戦となる。

 井上選手は10月24日の会見で、相手が守勢に回らないように釘を刺す一幕もあった。2017年以来となる年間3試合目となるクリスマス・イブ興行を経て、25年春には本場・米国のリングに上がるプランが進行中。スーパースターゆえに勝利以上のパフォーマンスが求められる宿命を背負う“モンスター”にとって、好戦的なファイトを望むメッセージは偽りのない本心だった。

「来年、再来年と大きな野望がある。圧倒的な差を見せて防衛したい」

 会見の冒頭で、所属ジムの大橋秀行会長は開口一番、力を込めて言った。

 見据える先には、来年春の米国興行、そして、WBCバンタム級王者の中谷潤人選手(M・T)との日本人同士によるビッグマッチ実現がある。

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 大橋会長は会見後の囲み取材で、「いろいろ考えています。(開催地は)ラスベガスかニューヨークか。まだ確定はしていないけど、そのつもりでいます」と3度目の防衛戦をクリアした後は、米国で試合を開催することを認めた。

 大橋会長は「来年、再来年も3試合やる予定。大きな試合になるんじゃないですかね」と、井上選手が今年と同じ年間3試合のペースを維持する予定を明かす。31歳の井上選手も「(年間)3試合は、自分の中で調整や、体を整える段階においては、すごく良い試合数だと改めて思うことができた」と前向きだ。

 グッドマン選手に勝てば、現役最多となる世界戦24勝目となる。際立つ強さゆえに、対戦相手や試合内容といった、結果以上のパフォーマンスを求められる。

 この日の会見でも、「海外の一部メディアでは、グッドマン選手は物足りない相手との指摘もあるが、どうか」という質問が出た。

 井上選手は「グッドマン相手がどうこうと言われても、WBOとIBFのランキング1位になっている選手。このベルトを守っていく中で、避けられない相手の1人。もちろん、侮れない相手で、何より前戦の自分を超えることを自分はモチベーションにしている」と応じた。

 そんな井上選手が気色ばんだのが、会見の最後だ。