強すぎるからこそ、相手を選ぶ

 権威ある米専門誌「ザ・リング」が選定する全階級を通じた最強ランキング「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」で1位に輝いたことがあるなど、井上選手の強さの指標は単なる勝利だけではない。

 4本の世界ベルトを巻く井上選手と拳を交え、名声とファイトマネーを欲する選手は後を絶たない。

 WBA同級1位ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)も対戦を要求し続けており、東京スポーツによれば、アフマダリエフ陣営が指名挑戦者であることを理由に法的措置も辞さない構えで対戦を強く主張している。

大橋会長(c)Lemino/SECOND CAREER

 大橋会長はこの日、「一番の強敵だと思う」と認めながらも、井上選手が23年12月にKO勝利したマーロン・タパレス選手(フィリピン)に、アフマダリエフ選手が敗れている点に言及。「WBAがやれとさんざん言っているけど、言わせてもらうとタパレスに負けちゃってるじゃないですか。井上から逃げ回って負けたタパレスに負けているというのは、ボクシングの興行として引っかかるところ」と指摘した。

 史上2人目となる2階級での4団体統一という偉業を達成からまだ1年も経っていないにもかかわらず、次なる階級変更と3階級目の統一王者などを期待される。スーパーバンタム級では、階級を超えた強さに対して求められるハードルは高い。その中で、防衛戦にふさわしいマッチメークを組む以上、相手がファイトマネーだけを目的にリスクを取らずに消極的な姿勢で挑んでくることは避けたいのが本音だろう。