
日本のライフスタイルを変えたコンビニの誕生から約50年。今、コンビニ各社は岐路に立たされている。人口減少や少子高齢化に伴い市場の先細り感が強まり、深刻な人手不足も店舗を苦しめる。コンビニ各社は今後、どんな戦略を採っていくのだろうか――。2024年12月に『コンビニ全史 日本のライフスタイルを変えた50年の物語』(日本経済新聞出版)を出版した日本経済新聞編集委員の中村直文氏に、独自路線を歩む北海道のセイコーマートから得られる学びや、コンビニ業界の未来について聞いた。
「レジ横ドーナツ」に再挑戦するセブンイレブン
──著書『コンビニ全史 日本のライフスタイルを変えた50年の物語』では、セブンイレブンが前回の販売終了から7年ぶりに再挑戦する「レジ横ドーナツ」について解説しています。再挑戦の背景にはどのような戦略があるのでしょうか。
中村直文氏(以下敬称略) コーヒーをレジカウンターで提供するセブンカフェはヒットしましたが、同じレジ横で販売するドーナツでは苦戦しました。その要因として、「顧客に伝わるおいしさを実現できなかった」ということだけでなく「コンビニでドーナツを買う動機が弱かった」ということが挙げられると思います。
しかし、セブンとしてはコーヒーを売っている以上、ドーナツやパンをしっかり売りたいと考えているようです。そこで、レジ横商品の強化と新たな看板商品の創出を目的として、よりおいしいドーナツを開発し、販売方法を見直しました。
2022年に大ヒットを記録したカレーパンと同じように、「揚げたものを冷凍してお店でもう一度揚げる」という方式にしたのです。ドーナツがセブンカフェのようにヒットして定着するかどうかは未知数ですが、改良された味や新しい販売方法が受け入れられれば今後の売り上げ拡大につながる可能性もあると思います。
──著書では、新たな成長戦略を模索するセブンイレブンとは対照的に、北海道のセコマ(札幌市)が運営するセイコーマートが「逆・セブンイレブン型」の戦略を採っている点に触れています。