一方的な相互関税を発表したトランプ米大統領(写真:ロイター/アフロ)

「対GDP比3%以上の国防費」を譲らないトランプ政権の無理難題

 4月3日、トランプ米大統領は、予告どおり全世界に高率の相互関税をかけると宣言、9日から「トランプ関税」が一斉に適用された。

 中国を最大の競争相手と見なすトランプ政権は、日米同盟を重視して例外にするのでは?との淡い期待も空しく、日本にも「税率24%」と容赦がない。

 中国やEUは報復関税で徹底抗戦の構えだが、日本の場合、石破茂首相はあくまでも交渉で撤回・緩和を説得する意向だ。早速7日にトランプ氏と電話会談を行うものの、「君たちは自国を開放しなければならない」と、より良い返事は得られていない。

 アメリカに対する関税引き下げの交渉手札としては、「防衛費の大幅増額」も考えられるが、これも一筋縄ではいかなそうだ。

 トランプ氏自身、日米安全保障条約の立て付けに不平をこぼしている。今年3月上旬、ホワイトハウスでの記者会見で、NATO(北大西洋条約機構)加盟国の国防費が少な過ぎると噛みつき、その矛先は日本にも及んだ。

「私たち(アメリカ)は日本を守らなければいけないのに、日本は私たちを守る必要がない。一体全体誰がこんな取引をしたんだ」と、不満たらたらだ。

 トランプ政権の国防総省(ペンタゴン)ナンバー3で、アメリカの国防政策を事実上主導する「軍事通」、しかも対中強硬派の主軸を自負するコルビー国防次官も、「日本は大変金持ちの国なのに、なんで(中国の)脅威に見合うだけの国防費を支出しないのか」と手厳しい。「少なくとも対GDP比3%」、もしくは「4%」という数字も口にする。

国防総省ナンバー3の国防次官、エルブリッジ・コルビー氏(写真:ZUMA Press/アフロ)

 こうしたトランプ政権の無理難題に、石破首相は4月7日の国会で、「理屈で論破してもどうにもならない」とこぼした。

 そもそもトランプ氏が日米安保条約締結の経緯や、深く関連する日本国憲法の成り立ちに精通しているとは到底思えない。相互関税「24%」の根拠も、かなりいい加減だと大手メディアの多くが口をそろえる。

 だが、これまでの振る舞いを考えれば、トランプ政権のデタラメさは、ある程度想定済みのはず。これに対応するには、真面目一本やりの正攻法ではなく、ある意味、奇想天外な発想で相手側を半ば驚かすような仕掛けで臨むべきだ。