(英フィナンシャル・タイムズ紙 2024年12月16日付)

バブルが大きく膨らむと、「もっと大きくなぁれ」と願う気持ちもさらに大きく膨らむ(rihaijによるPixabayからの画像)

 筆者は以前のコラムで、米国が世界の金融市場に占める異常に大きなシェアに「究極のバブル」のレッテルを張った。

 以来、その見方に同意する少数の人からさえ受けた主な反論は、このバブルが近々しぼむ気配はないというものだった。

 目前に迫るバブル崩壊を予想する人はほとんどいない。

 事実上すべてのウォール街のアナリストは、米国株は2025年も他国の市場をアウトパフォームし続けると予想している。

 だが、こうした熱意は大抵、バブルが非常に進んだ段階にあることを裏付けるだけだ。

「米国例外主義」についてのコンセンサスがそれほど圧倒的だとすれば、これから波に乗ってバブルをさらに膨らませる人がどこに残っているのか。

誰もが強気になると・・・

 ウォール街が抱く確信は、流れがすっかり確立し、もう終わりに近い段階になって初めて市場のトレンドに注目することが多い大衆メディアにも波及した。

 米国の優位性に関する熱狂は今、未来のトレンドについて間違った方向を指してきた過去があるテレビ、ラジオ、ポッドキャスト、新聞コラム、雑誌の特集のネタになっている。

 強気派は、米国は企業の見事な収益力のおかげで支配的な国であり続けられると主張する。

 だが、米国企業の利益成長は、ビッグテック企業の並外れた利益と莫大な政府支出がなければ、それほど例外的には見えない。

 時間が経つとともに、並外れた利益は競争によって消えていく。

 成長と利益は、景気サイクルのこの段階としては圧倒的に過去最大の赤字支出によっても人為的に膨らんでいる。

 大半のエコノミストはそれでも、米国の家計と企業のバランスシートが健全なため、好景気が続くと主張している。

 ドナルド・トランプ次期大統領の関税や移民計画について心配している数少ない人は大抵、こうした策は米国以上に外国経済を傷つけると考える。