代わりの投資先の魅力が高まれば軟着陸

 誤解のないように言っておくと、これは世界各国と比較した米国のパフォーマンスのバブルであって、1990年代風の米国市場のバブルではない。

 このため代替的な投資先が魅力的に見え始めたら、害のない形でしぼむ可能性がある。

 もしかしたらドイツとフランスが、ギリシャとスペインが10年前に強制されてやったように経済を立て直すかもしれない。

 もしかしたら中国が、トランプ氏の関税と弱い内需からの圧力を受け、経済を安定化させるためにようやく消費を喚起するかもしれない。

 だが、「米国例外主義」に魅了されたアナリストは、米国がいかに1世紀の長きにわたって世界一の市場だったかということしか語れない。

 こうしたアナリストは、10年刻みで見た場合、過去11回の10年間のうち6回は米国の株式市場が世界の市場の後塵を拝したことを忘れている。

 直近では、米国が全くリターンを生まない一方、新興国市場の価値が3倍に膨らんだ2000年代がそうだった。

 その2000年代が終わりに近づく頃、新興国市場に見られる態度は今の米国について聞かれる確信とよく似ていた。

「お金はほかにどこへ向かうのか」ということだ。