(英フィナンシャル・タイムズ紙 2024年11月29日付)

どんなにIQが高くても、フランス革命の意義について全く理解がない人物が国家の運営を任されたとしたら・・・(WikiImagesによるPixabayからの画像)

 数年前に本紙フィナンシャル・タイムズが開催したイベントで、マイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツ氏は、会社を発展させていく時に痛い思いをして学んだことは何かと質問された。

 その回答は当時、聴衆を驚かせ、今はなおのこと心に響く。

 ゲイツ氏の答えはこうだった。

 20代前半には「IQ(知能指数)は代替可能」だと確信していたが、それは間違いだった。

 あの時は、見つけられる限りで最も頭脳明晰な人物を雇い、IQが最も高い人物を会社の上層部に据える企業版「IQ序列」を作ることを目指した。

 自分より頭の良くないボスのために働きたいと思う人はいないと考えたからだ。

「結局、その仕組みは長持ちしなかった」とゲイツ氏は明かした。

「自分が25歳になる頃には、IQというのは様々な形で発揮されるもののようだと分かった」

 例えば、販売や経営のことを理解できる従業員は、優れたプログラムを書くとか物理の方程式をマスターすることとは負の相関を示す形で優秀であるように見えたとゲイツ氏は言った。

 マイクロソフトはそれ以降、効果的なチームを作るためにタイプの異なる知的能力の持ち主を組み合わせることに取り組んだ。

 その努力はどうやら報われているようだ。同社の市場時価総額は今では3兆ドルを超えており、来年には創業50周年を迎える。