東京2020パラリンピックのメダリストをはじめ、トップアスリートたちが集結する車いすマラソン大会をご存じだろうか。11月20日に大分市で開催された「大分国際車いすマラソン」だ。41回目を迎えた大会には、国内外から招待選手と一般参加選手を合わせて約180人が参加。コロナ禍で続いていた制限が今大会からすべて解除され、元通りの熱気を取り戻した大会となった。なぜ、世界最高峰の車いすマラソン大会が大分で開催されるのか。日本が誇るパラスポーツ国際大会の源流を紹介しよう。
◎これまでの連載はこちらから
第1回:夏季パラリンピックを2回開催した唯一の都市、東京はレガシーを残せるか(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/72051)
第2回:障害ある人に合わせた職場はこうつくる、50年蓄積したオムロン太陽の知見(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/72515)
(田中 圭太郎:ジャーナリスト)
3年ぶりに海外からの一般参加を受け入れ
「大分国際車いすマラソン」は、大分市を舞台にマラソンとハーフマラソンが繰り広げられる大会だ。今年は大会前日の11月19日に開会式が行われ、国内外から参加した選手が姿を見せた。
新型コロナウイルス感染症の影響で、2020年は国際大会は延期とし、国内在住の選手のみの参加で開催。2021年は東京2020パラリンピック後では初めての国際パラスポーツ大会となったが、海外からは招待選手だけの参加となった。そして今年は、3年振りに海外からの一般参加選手を受け入れ、国際色豊かな大会の姿を取り戻した。
レースは国際クラス分けに基づいて、障害の違いによって「T51」「T33/52」「T34/53/54」の3つのクラス*1に分かれる。最もスピードが速いクラスが、上肢の障害が比較的軽いT34/53/54だ。
*1:クラス分けの詳細については、大分国際車いすマラソンのホームページ(https://kurumaisu-marathon.com/class/)を参照されたい
開会式に先立って招待選手の記者会見があった。最速となるT34/53/54マラソン男子では、東京2020のマラソン男子とトラックレース3種目で金メダルを獲得したスイスのマルセル・フグ選手、マラソン銅メダルのアメリカの強豪ダニエル・ロマンチュク選手、日本人最高位の7位だった鈴木朋樹選手が登場。マラソン女子で前回優勝の喜納翼選手と、上肢などの障害が最も重いT51マラソン男子の南アフリカのピーター・ドゥ・プレア選手も会見に臨んだ。
前回大会のT34/53/54マラソン男子ではフグ選手が世界新記録で優勝し、鈴木選手が2位で日本記録とアジア記録を更新した。記者会見でフグ選手が「エキサイティングでワクワクするようなレースができると思います。良い結果が残せるように頑張りたい」と抱負を述べると、鈴木選手は「レースの展開としては強すぎる彼らにどこまでついていけるか。スタートが鍵になると思っています」と意気込みを語った。