日本国内の名だたる企業14社とNIL契約を締結している米スタンフォード大学の佐々木麟太郎(写真:AP/アフロ)
目次

 (田中 充:尚美学園大学スポーツマネジメント学部准教授) 

 昨秋のプロ野球のドラフト会議で、ソフトバンクから1位指名を受けた米スタンフォード大学の佐々木麟太郎選手がこのほど、オンライン会見でメディアの合同取材に応じた。

 岩手・花巻東高時代に通算140本塁打を放ったスラッガーは、7月のメジャーリーグ(MLB)のドラフトでも指名される可能性がある。

 超高校級の選手としてプロや国内の大学・社会人チームではなく、米国の名門大学への進学を決断。文武両道を貫く前例のないスタイルへの評価は高く、多くの日本の大企業などからスポンサーシップを得ている。

 NCAA(全米大学体育協会)で解禁された「NIL」(NAME・IMAGE・LIKENESS=名前、画像・映像、肖像権)契約で、その数はすでに14社。前例に縛られない進路を突き進む20歳のブランド価値は、すでに上昇基調にある。

大学1年で打率2割6分9厘、7本塁打、41打点

 佐々木選手が主に日本のメディアを対象にオンライン会見を開いたのは、日本時間1月28日の午後2時。現地時間は前日の午後9時で、佐々木選手は大学での授業、チーム練習、個人練習を終えた後、大学野球部のクラブハウスから質疑に応じた。

大学野球部のクラブハウスからオンライン会見に臨んだ佐々木麟太郎選手(写真:筆者撮影)

 オンライン会見に参加したメディアは34社、報道陣の数は約60名。日米球界から熱い視線を注がれているという、注目度の高さをうかがわせた。

「(日本時間の)日中のお忙しい中でお集まりいただき、ありがとうございます。いま、話せる範囲の現実と現状を、誠心誠意、お答えします」

 会見の冒頭で自らこう切り出した佐々木選手は、現地での学生生活などについて報告。

 世界屈指の名門大の授業の中でも、マネジメントやお金の流れの仕組みなどを中心に、関心の高い授業を受けていることを紹介するなど、野球と勉強の両立に励んでいる様子が伝わってきた。

 渡米時に不安要素として取り上げていた英語に関しても、「幼少期に一気に(野球のバッティングで)ボールが飛ぶようになった感覚のように伸びている」と手応えを語った。

 大学1年目の昨季は、全52試合で先発出場。打率2割6分9厘、7本塁打、41打点を記録。2月中旬から開幕する2年目は、チームの中軸として、打撃面でさらなる飛躍が期待されると同時に、自身は守備力の向上を誓う。

 一時帰国時には、母校で監督を務める父、洋さんの指導を仰ぎつつ、打撃フォームの改善に取り組んだという。

 守備でも、本職の一塁だけでなく、三塁の守備にも積極的に挑む覚悟だと言い、新シーズンはファーストミットだけでなく、内野手用のグラブも準備するという。

 もちろん、20歳の若者にとって、いつも順風満帆なわけではない。会見では現地での苦労について、こんな本音も漏れた。