新スタジアムの整備を巡って市とJリーグ側のやり取りが騒動になった、ブラウブリッツ秋田(写真:森田直樹/アフロスポーツ)
(田中 充:尚美学園大学スポーツマネジメント学部准教授)
サッカーJ2・ブラウブリッツ秋田の新スタジアム整備を巡り、秋田市とJリーグ側の非公開の場でのやり取りが騒動となった。
沼谷純市長は、1万人規模を上限として検討していることに対し、Jリーグ側から「志が低い」と指摘されたことを明かし、「常識がなさすぎる」と批判した。
問題の根源にあるのは、ライセンスを交付するには、J1では1万5000人以上、J2でも1万人以上を収容しなくてはならないというスタジアムの基準にある。人口規模の小さな地方都市ではこの条件はハードルが高く、そもそも莫大な公金投入も含めて、これだけのハコモノが必要なのか、というわけだ。
秋田に限らず、Jクラブがある地方都市では、たびたび議論になっている根深い問題でもある。
地方の実情を無視したJリーグ側の言い分
Jリーグ側の発言は、ABS秋田放送が、秋田市への新スタジアム整備計画を巡る議事録を開示請求したことで明らかになった。
記事は2025年1月6日付でウェブにも公開され、同8日に開かれた沼谷市長の会見を受け、朝日新聞や読売新聞などの一般紙も相次いで報じた。
朝日新聞の記事によれば、報告を受けたとする沼谷市長は「自治体のオーナーは秋田市民。(Jリーグ側は=編集部注)市民に向かって志が低いと言っている自覚がない。市民の理解を得られないものには1円も出せない」などと反発した。
市が試算した1万人収容の新設スタジアムの整備費は約199億円と報じられており、建設後も維持管理費がかかる。市は単独で事業主体にはならないことや、原則として維持管理費を負担しない方針だが、それでも今後の税収減が見込まれる市にとって、スタジアム整備の問題は財政に重くのしかかる。
Jリーグ側の発言への強い反発には、地方の実情への配慮に欠いているというわけだ。