スポーツのオンライン視聴の料金が高騰しつつある(筆者がChatGPTで生成)
(小林 啓倫:経営コンサルタント)
米国において圧倒的な人気を誇るスポーツ、それはアメリカンフットボールだ。その人気ぶりはデータとして明確に表れている。ある報道によれば、NFLの2024年レギュラーシーズンのテレビ視聴者数は、平均で1試合当たり1750万人にも達している。これは他のスポーツ中継やテレビ番組を大きく上回る数値だそうだ。
また、2023年において米国で最も視聴されたテレビ番組100のうち93はNFLの試合で、翌2024年もオリンピックと大統領選挙があったにもかかわらず、NFLは依然としてトップ100のうち約70を占めていたという。
ところがそのNFLについて、ワシントンポスト紙が気になるニュースを報じている。それによると、2025年シーズンからNFLの全試合がストリーミングで視聴可能になったそうなのだが、その視聴料が急激に高騰しているというのだ。
もし全試合をストリーミングのみで視聴しようとすると、Paramount+、Fox One、Peacock、ESPN Unlimited、Prime Video、Netflixといった最大6つのサービスを組み合わせなければならない場合があり、そのためには月に90ドル(約1万4000円)前後が必要になるという。
実はこの傾向は、他のスポーツや国々でも見られている。
たとえば、ボクシングの試合は近年、大きな注目を集める世界戦などで、PPV(ペイ・パー・ビュー、1番組単位で料金を支払ってコンテンツを視聴する仕組み)で配信されることが増えているが、その料金が高騰している。
2024年5月4日のカネロ・アルバレス vs. ハイメ・ムンギア戦はDAZN PPVおよびPPV.comで配信され、料金は89.99ドル(約1万3500円)だった。これはかなりの高額チケットで、Xでは「ボクシングファンは激怒している」とのコメントも見られる。
日本においても、2025年12月27日に予定されている井上尚弥 vs アラン・ピカソの世界戦がLemioでPPV独占配信されることが決定しているが、その料金が税込4950円(事前)/5500円(当日)になると発表されている。これは前述のカネロ・アルバレス vs. ハイメ・ムンギア戦よりはずっと安いが、同じ井上尚弥の2021年12月の世界戦は3156円(ABEMAプレミアム会員価格)で配信されており、単純には比較できないものの4年で約1.6倍に高騰している。
このように、オンラインでのスポーツ視聴は高額化しているが、その背景に何があるのだろうか。