NFL視聴で独占的な地位を築いたYouTube TV

 米国ではスポーツ中継を見る手段が、ケーブルテレビからネットへと移行しつつある。特に2024年は歴史的な転換点で、ストリーミングやオンライン配信でスポーツを視聴する人が1億500万人に達し、初めて従来のテレビスポーツ視聴者の8570万人を上回った

 ケーブルテレビ加入者が2023年の7220万人から2024年には6870万人へと4.9%減少する一方、スポーツをストリーミング視聴する人は月間9000万人以上に達し、2021年の5700万人からほぼ倍増している

 一方で2025年の調査では、米国民の69%がストリーミングで何らかのスポーツを視聴しており、これはテレビの地上波やケーブルテレビと同水準とのこと。特にNFLについては、2024-2025シーズンにおいて、米国民の51%がストリーミング経由で試合を視聴したとの調査結果もある

 この傾向は若年層で特に顕著だ。2023年の時点で、18-34歳のケーブルテレビ加入率はわずか33%だったのに対し、65歳以上では50%となっている。若者の視聴行動は大きく変化しており、18-34歳の42%が、ソーシャルメディアから非ライブのスポーツコンテンツを取得し、試合全体を視聴するのはわずか19%にとどまっている

 そんな中で、スポーツのライブ配信を手掛ける各種サービスの料金が上昇しているわけである。

 100以上のライブテレビチャンネルを提供している「YouTube TV」を例に挙げよう。同サービスはESPNやCBS Sports、NFL Networkといったさまざまなスポーツ系チャンネルも配信しており、NFLやMLB、オリンピック、ゴルフトーナメントなど各種のスポーツ系コンテンツも手掛けている。

 YouTube TVの料金は2017年に月額35ドル(約5400円)でスタートしたが、その後値上げを繰り返し、2025年1月からは月額82.99ドル(約1万3000円)だ。これは物価上昇率を大きく上回るペースでの値上げで、米メディアは「もはやケーブルテレビと同じか、それ以上に高い」と指摘している

 特筆すべきは、YouTube TVがNFL視聴において独占的な地位を築いている点だ。