打ち上げられるスペースXのスターリンク衛星(写真:ZUMA Press/アフロ)
かつて宇宙開発は国家が主導する特別な事業だった。しかし現在、その主役は急速に民間へと移りつつある。ちょっとしたアイディアとやる気で、宇宙に関するビジネスチャンスが訪れる時代になった。『「稼げる仕組み」が1時間でわかる 宇宙ビジネス超入門』(PHP研究所)を上梓した佐々木亮氏(元アメリカ航空宇宙局(NASA)研究員)に、宇宙ビジネスがもたらすインパクトと民間企業に開かれた可能性について話を聞いた。(聞き手:関瑶子、ライター&ビデオクリエイター)
──本書では、宇宙ビジネスは今後爆発的な成長が望める領域であるとした上で、「宇宙ビジネスは世界の格差をなくす」と書かれています。なぜ宇宙ビジネスが格差解消に一役買うと考えられるのでしょうか。
佐々木亮氏(以下、佐々木): 例えば、SpaceX(スペースX)が展開しているスターリンク衛星(※)は、インターネットの格差解消に大きく貢献すると考えています。
※スペースXが運営する通信サービス。地球の低い軌道を回る多数の小型人工衛星を使い、山間部や離島などでもインターネットを利用できるようにする仕組み。従来の通信インフラを補う存在として注目されている。
現在は、いわゆる「ネット社会」にもかかわらず、常時インターネットに接続可能な環境にいる人は地球上の人口の50%程度にすぎません。僕らはインターネットから何でも知識を引っ張ってくることができますが、それができない人が多くいることは事実です。これは、明らかな情報格差と言えるでしょう。
情報を得られないと、プロパガンダや偽情報に流されやすくなりがちです。それが現在、世界的な問題になっています。スターリンク衛星などの新しい衛星技術により、世界中の人が等しくインターネットに接続できるようになれば、そういった問題は解消されていくのではないかと期待しています。
意外と知られていない宇宙ビジネス先進国
──とは言っても、宇宙ビジネス先進国や特定の地域に住んでいる人のみが宇宙ビジネスの利潤を得ることになるのではないでしょうか。
佐々木:それは多少なりともあると思います。ただ、宇宙ビジネス先進国だけがいい思いをするのではなく、全世界で利潤が分配され、全体的な底上げが起こるのではないかと考えています。
宇宙ビジネスは現状では振興段階のため、「資本力=技術力」となる部分は確かにあります。けれども、これまで全く注目されていなかった企業や国が宇宙技術で突破口を開いている事例も見られるようになってきています。
有名な事例はリトアニアです。
新興宇宙企業・ナノアビオニクス社(Kongsberg NanoAvionics)のキューブサットは10センチ四方の立方体(1ユニット)を基本単位とした超小型衛星で、複数のキューブサットを組み合わせ、そこに望遠鏡やセンサを設置して打ち上げます。かかる費用は、数億円程度と、一般的な衛星の打ち上げにかかるコストと比較して非常に安価です。
ナノアビオニクス社以外にも、「ここにそんなビジネスチャンスがあったんだ」という企業や事例が続々と出てきていいます。
