宇宙開発が政府主導から民間主導に移行した理由

──これまで宇宙開発は政府主導でしたが、民間主導に変わりつつあるのはなぜでしょうか。

佐々木:2000年代半ばに、NASAが宇宙開発を本格的に民間に委託し始めたことが大きいと思います。

 NASAは、ある種の投資機関のような役割を果たし、民間企業に資金を提供することで宇宙開発に民間の競争原理を取り入れ、安価かつ技術革新のスピードを向上させることに成功しました。既に宇宙輸送の分野については本格的に民間に委託しています。NASAの民間委託の成功事例を見た各国の宇宙機関も、続々とその後に続いているのが現在の状況です。

 一方で、宇宙開発が半官半民で営まれるようになったとはいえ、ある程度の棲み分けがされていることは注目すべき点です。

 例えば、地球周辺はもう民間に任せてもいいのではないかという流れになっています。ロケットの打ち上げ費用も下がってきて、民間による人工衛星打ち上げも多くなされるようになりました。

 それに対して、月は少し遠い宇宙です。月面探査は、まだ各国の研究機関がおのおの、ないしは協力して探査機で調査している段階です。民間が担う部分はそう多くありません。

──距離が遠くなると技術的難易度が上がるため、民間には任せられないということでしょうか。

佐々木:それももちろんあると思いますが、民間企業が入るためには、それによって利益を得る見通しがある程度ついていなければなりません。遠くになればなるほど、事業化していくまでのステップは長くなります。そういう意味で、民間に託せる部分はどうしても地球から近い距離に限られてしまうのです。