米国と中国の半導体性能差は縮まるどころか広がっていくとの指摘もある(写真は2025年7月26日、上海で開かれた「世界AI大会」でのファーウェイのブース、写真:VCG/アフロ)
トランプ米政権が中国製半導体への新たな追加関税について、その発動時期を2027年6月まで事実上先送りする方針を打ち出してから1カ月が経過した。
形式的には不公正な貿易慣行を認定して「即時発動」の形を取りつつも、実質的な税率は18カ月間にわたり「0%」に設定するという異例の措置だ。
その決断の背景には、激化するハイテク覇権争いにおいて、米国が「時間」と「実利」を天秤にかけた高度な戦略的判断が見え隠れする。
「0%関税」に込められた実利と牽制
米通商代表部(USTR)は、昨年末に公示した通商法301条に基づく調査結果において、中国の半導体政策を「非市場的な慣行による支配」と厳しく断じた。
しかし、実際に課されるはずの追加関税は、2027年6月22日まで事実上の猶予期間に入った。
背景にあるのが、昨年10月の米中首脳会談で合意された、いわゆる「ハイテク休戦」だ。
中国側がハイテク産業に不可欠な希少金属(レアアース)の輸出を再開する見返りに、米国側は関税の引き上げを先送りし、一部の輸出規制を緩和する道を選んだ。
特筆すべきは、トランプ政権がこの猶予期間を「バーゲニング・チップ(交渉材料)」として機能させている点だ。
2027年の税率をあえて「未定」とすることで、中国側の今後の対応次第でいつでも圧力を強められる構えを見せる。
また、1月13日には米商務省が、台湾で製造された製品を一度米国内に戻して手数料を徴収する、という異例の出荷プロセスを含む、米エヌビディア(NVIDIA)の準先端チップ「H200」輸出に関する具体的規則を公示した。
さらに1月15日には、台湾積体電路製造(TSMC)による2500億ドル(約40兆円)の対米投資と引き換えに、台湾製品への関税を15%に引き下げる貿易合意が締結されており、米国は中国への圧力を維持しつつ供給網の国内囲い込みを加速させている。
通商拡大法232条(国家安全保障)に基づく包括的な調査結果の公表も近く控えており(米CNBCの記事)、今回の措置は、米国内のサプライチェーンへの影響を最小限に抑えつつ、中国を交渉テーブルにつなぎ止める「管理された緊張」の産物といえる。