2026年はオフィスから目に見えて人がいなくなる可能性がある(Pixabayからの画像
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 2025年という年は、後に「労働市場におけるAIの本格進出が可視化された年」として記録されることになるだろう。

 2026年を迎えた今、私たちは昨年末に吹き荒れた人員削減の嵐を冷静に振り返る時期に来ている。

 米雇用調査会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスの最終集計によれば、2025年の全米での人員削減数は117万件に達した。

 これは、新型コロナウイルスのパンデミック時に222万件を記録した2020年以来、5年ぶりの高水準となる。

 その中でも特筆すべきは、約5万5000件のレイオフ(一時解雇)において、企業側が「AI」を直接的な理由、あるいは主要因として挙げたことである。

「効率化」と「聖域なき再編」の加速

 昨年末に相次いだ大手テック企業の動きは、一つの転換点となった。

 AIの影響が「将来的な議論」や「抽象的なシナリオ」という域を超え、人員削減を伴う「具体的な経営判断」に直結し始めたからだ。

 米アマゾン・ドット・コムは10月、同社史上最大規模となる、管理部門を中心とした1万4000人の人員削減を断行した。

 アンディ・ジャシーCEO(最高経営責任者)はこれを、AIを活用した「官僚主義の削減」と、AIインフラという「最大の賭け」にリソースを集中させるための構造改革だと位置付けた。

 米経済ニュース局CNBCによると、米マイクロソフトは年間を通じて約1万5000人を削減。

 サティア・ナデラCEOは「ソフトウエア工場からインテリジェンス・エンジンへの転換」を掲げ、AIによる組織の再定義を加速させた。

 他にも米セールスフォースがAIの導入を背景にカスタマーサポート部門の4000人を削減するなど、事務・管理・サポートという「定型業務」がAIに置き換わる動きが顕著となった。

 これらの動きの狙いは明白だ。

 AIによって既存業務をスリム化し、コスト削減によって生み出した資金を次世代の主導権争い(AI開発・AIインフラ)に再投資すること。

 つまり、AI時代の「選択と集中」である。