2026年の展望:コスト管理から「組織再設計」フェーズへ

 2025年の混乱を経て、2026年は「AI導入によっていかに人員を削減するか」という短絡的なフェーズから、「AIを前提とした組織の再設計(Org Redesign)」をいかに完遂するか、というフェーズに移行するとみられる。

 今後の焦点は以下の3点に集約されるだろう。

1. 人材育成の再定義:AIによって消失した「実務を通じた修練(OJT)」に代わる、新たなスキル習得パス(path)をいかに構築するか

2. 多様性の確保:AIによる「同質化」の罠を回避し、人間にしか出せない「逸脱」や「独創性」を組織としてどう守り抜くか

3. シニア層の役割転換:若手の代替をAIに任せるのではなく、AIの出力を厳密に吟味し、若手の「批判的思考力(クリティカル・シンキング)」やAIを監督する能力を育てる新たなマネジメント手法の確立

 2025年のレイオフは、パンデミック後の過剰雇用の意図的な調整という側面を超え、人間とAIの役割分担を抜本的に見直す構造改革の端緒となった。

 2026年、企業の焦点は人員削減というコスト管理の段階から、AIを前提とした組織下で、人間がいかに高い付加価値を生み出し続けられるかという「組織再定義」へと移りつつある。

 2025年に断行したAI主導の合理化を、単なるコスト削減という成果にとどめるのか、あるいは新たな成長モデルの起点へと転換できるのか。

 その岐路に立つ企業それぞれの真価が問われる一年となりそうだ。

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