NIPPON EXPRESSホールディングス 専務執行役員 経営戦略本部長の大槻秀史氏(撮影:榊水麗)

 2025年12月、NIPPON EXPRESSホールディングス(以下、NXHD)傘下の日本通運が、自社の物流施設を1000億円超で米投資ファンドのブラックストーンに売却することが明らかになった。長らくPBR(株価純資産倍率)が1倍を割り込んでいたNXHDは、ROE(自己資本利益率)の改善に向けてバランスシート(BS)の大規模な再構築に着手。その一環として低収益不動産の売却を進めており、今回の1000億円超に及ぶ取引もその一つとなる。この取り組みをリードする専務執行役員 経営戦略本部長の大槻秀史氏に、変革の真意と勝算を聞いた。

PL重視からBS経営へ「変革のギア」を一気に上げる

──NXHDでは現在、「企業価値向上」に向けた大規模な施策を進めています。この背景にある課題認識はどのようなものですか。

大槻秀史氏(以下、敬称略) 私たちの最大の課題は、ROE(自己資本利益率)が株主資本コストを下回っており、その結果として2025年春までPBRが1倍を割り込む状況が長く続いていた点にあります。

 当社は2022年にホールディングス体制へ移行し、グローバル市場での成長を目指してきましたが、これまでは長らく売上高や営業利益といった「PL(損益計算書)」重視の経営を行ってきました。損益管理は徹底していましたが、BS(バランスシート)上の資産がどれだけの利益を生んでいるかという投資効率の視点、あるいは資本コストという概念が、経営の現場に十分に浸透していなかったのが正直なところです。