全日本空輸 人事部 ANA人財大学 変革塾 チーフプロデューサー 野中 利明氏(撮影:榊美麗)
座席シートカバーをアップサイクルしたルームシューズ、退役機に会える「航空機の墓場ツアー」、エンジン工場の現場から生まれたDX研修・DXコンサル──。ユニークな企画の仕掛け人は、新規事業とは無縁の現役CAや整備士たちだった。創業以来最大の危機となったコロナ禍で生まれた新規事業提案制度「がっつり広場」は、社員4万人から3400件超の提案を集め、過去最高の売上高を更新する今も、現場の挑戦を後押しする土壌になっている。新規事業開発を専任化せず、通常業務と両立する“二刀流”人材として育成する仕組みは、いかにして生まれたのか。人事部 人財大学 変革塾 チーフプロデューサーの野中利明氏に聞いた。
「基盤人材」と「ゼロイチ人材」の“二刀流”
──新規事業提案制度「がっつり広場」は、どのような背景で立ち上がったのでしょうか。
野中利明氏(以下、敬称略) がっつり広場が始まったのは2020年、コロナ禍の真っただ中です。航空機がほとんど飛べない状況下で創業以来最大の経営危機に直面し、事業規模は瞬く間に約40年前の規模にまで落ち込んでしまいました。
そんな中、当時CX(顧客体験)部門のトップだった井上(慎一、現社長)から、社員の新規事業提案制度を推進する部署を立ち上げるよう“特命”が下りました。「1円でも多く稼ぐ」アイデアを社員から集め、迅速に実現させよというものです。






